浴室リフォームを行うといっても、様々な改修方法があり、数万円程度でできる改修から、百万円以上の予算が必要となる改修まで様々である。
さらに、浴室の種類によっても改修方法と予算は異なる為、慎重な検討が必要となってくる。
今回は、浴室の種類別、改修の種類別、さらにはグレードによるそれぞれの予算について紹介する。
自宅の改修を検討している場合は参考にしていただきたい。
浴室をすべて入れ替える場合の予算
浴室を入れ替えるパターンは、大きく分けて3種類ある。
①在来工法の浴室からユニットバスへ
②ユニットバスから新しいユニットバスへ
➂在来工法の浴室から在来工法の浴室へ
一般的な家庭の場合、現代では①もしくは②となる。
在来工法の浴室とは、昭和末期まで主流とされた工法で、壁や天井をコンクリート(塗装も含む)もしくはタイル仕上げ、または木で造られている場合が多い。さらにバランス釜の場合や風呂桶がアルミの場合もある。
平成以降に作られた一般住宅ではユニットバスが主流であり、FRPという素材が主に使用されている。
FRPとはプラスチックのような素材からできているため、このような素材で造られている場合はユニットバスとなる。
また、ユニットバスは組み立てタイプの浴室となる為、所定寸法の空間と下地があれば簡単に施工ができる。
住宅で言えばプレハブ住宅のようなもので、メーカーで作ったものを組み立てるタイプとなるが、現代ではこれが主流である。
③の場合は費用が多く発生するためリフォーム会社は薦めない。
高級層の方々は、自分好みの浴室を作る為に在来工法の浴室を採用する場合もあるが、一般家庭ではほとんど採用されない為、今回は省略する。
在来工法→ユニットバスの場合
在来工法からユニットバス工法の場合、7日~10日程度の日数が発生する。
在来工法の浴室をユニットバスの浴室にするためには、浴槽や設備関係以外にも壁や床、天井の解体も行なわなければならない他、ユニットバス用の下地や床補修も必要となってくる為、日数、費用が発生する。
このため、在来工法からユニット工法の改修予算としては、中価格帯で90万円~120万円となりグレードによっても異なる。
ユニットバス→ユニットバスの場合
ユニットバスから新型のユニットバスにリフォームする場合はおよそ中価格帯で70万円~100万円前後でできる場合が多い。
在来工法のような解体工事がないことや、必要空間、下地が既存であることから、少々低予算で済む場合が多い。
低グレードのユニットバスの種類と予算
ハウステックやタカラスタンダードといった有名メーカーのユニットバスでは低価格帯で機能が優れているユニットバスが揃っている。
ハウステックで言えば、フェリテ(戸建)やソフィアス(マンション)シリーズである。
こちらは工事費込みで60万円~80万円程度となる。
掃除がしやすいことや、床の冷たさを軽減すること、手すりや棚の機能性その他、低価格帯とは思えない機能が備わっている。
同価格帯で有名メーカーの商品では
・LIXILアライズ / リノビオV
・パナソニックFZ
があり、機能はハウステックの商品同様、低価格帯でありながら満足度の高い機能が揃っている。
低価格帯で人気なのは、TOTOのサザナ、マンションリモデルバスルームである。
サザナも他メーカーと同じような機能だが、価格以上のクオリティで満足度が高い。
マンションリモデルバスルームはこの中でもグレードがあり最安価の商品では60万円以下でリフォームできるものある(ユニットバス→ユニットバスの場合)
中グレードのユニットバスの種類と予算
中規模価格帯での費用は70万円~90万円前後でリフォームが可能となる物がある。
中グレードとなると、欲しい機能がさらにグレードアップしており、入浴もかなり快適な時間となる。
パナソニックのオフローラ / リフォムスMR-X
オフローラの浴槽には人造大理石が使用され、最高の美しさが演出されている他、お湯に酸素を加え細かい気泡を生むことによってミルキーなお湯を作り出す。
さらにお湯が冷めにくいエコ設計になっている等最高に満足できる機能が備わっている。
クリナップのアクアリアバスではスムーズに入浴できるよう人間工学に基づき浴槽に入りやすいこと設計がなされている事や、常に暖かい湯がでる常夏カウンターが用意されている。
高級ユニットバスとは?
ハイグレードのユニットバスと言えば、リクシルのスパージュがある。
高級感が溢れる内装に加え、快適さを兼ね備えた最強のユニットバスである。
スパージュは90万円台の商品から200万円以上の最高級グレードまで存在する。
パナソニックでは、リフォムスやLクラスバスルームがある。
こちらも商品代金で100万円を超えるハイグレードタイプのユニットバスであり、機能と空間は文句ない仕上がりとなっている。
また、TOTOではシンラシリーズがハイグレードクラスとなる。
メーカー商品別の予算の注意点
今回紹介した予算は1616(1坪)サイズを標準に予算設定を行っている。
面積の大小により予算は大きく異なる。
また、メーカー発表よりも安価な施工業者をベースとしている為、依頼業者によって価格が異なる場合がある。
部分改修する場合の予算
浴室をまるごと改修する以外にも一部分を改修することも可能である。
その場合の予算設定はまるごと変える時よりも大幅に安価になる。
予算の問題だけなく、一部汚れがひどい場合や傷がついてしまった場合等においてもこの改修方法は有効となる。
浴室内の一部分を改修する方法を紹介する。
床を改修する場合の方法と予算
床を改修する方法は、シートを張る方法である。
この方法は、ユニットバスにも在来工法にも有効となる。
ユニットバスの場合、交換すればよいと安易に考えがちだが、床の上に4面の壁が備わっている為、床のみの交換は安易でない。
しかし、シートであればどのような仕上りの上でも貼ることができる。
ユニットバスのような仕上りから、在来工法のタイル仕上りの上に解体せずにはることができる為大変便利である。
DIYも難易度は高いが可能であり、その場合1万円~2万円程度で施工が可能だ。
業者に依頼する場合でも5万円~8万円程度となる。
シートを施した隅にコーキング処理をしなければならないことなどがある為、プロによる施工を推奨する。
天井・壁を改修する場合の方法と予算
天井、壁についてもシートで改修することが可能だ。
床の場合は滑り防止の機能を備えた専用のシートとなるが、天井や壁はその限りではない。
シートによる改修はDIYの場合1万円~2万円程度、業者に依頼しても10万円程度である。
床も一緒に施工しても同料金程度で済むこともある。
シートで改修する方法はこちらをご覧いただきたい。
「浴室をシート貼りで経済的にリフォーム!DIY法や費用を解説」
http://furorenove.com/2019/12/23/seat-the-bathroom/
在来工法で現状の仕上りがコンクリートや塗装仕上げの場合は塗装のし直し改修も可能である。塗装でもDIYは可能だが、塗装も意外と難しい。
DIYの場合は1万円程度、業者に依頼の場合は5万円程度で改修が可能となる。
塗装改修の方法はこちらをご覧いただきたい。
「お風呂も経済的に塗装でリフォーム!方法や費用などを解説」
http://furorenove.com/2019/10/02/the-bath-is-also-painted-economically/
ユニットバスの場合は、パネル交換のみの改修も可能である。パネルのみの交換であれば、浴槽や、電気設備、給排水設備の改修も必要とならない為、大幅に予算を削りながらも、きれいな浴室を再現することが可能となる。
DIYでも可能とされているが、未経験ではかなり難しい。プロに任せるのが良いだろう。
予算は1面10万円程度からとなっているが、これは最低グレードの場合である為、中グレードの場合は1面13万円程度から予算を考えると良いだろう。
「風呂用壁パネルとは?パネルリフォームはDIYでも可能?」
http://furorenove.com/2019/11/15/bathroom-wall-panels/
浴槽のみ改修する場合の予算
浴槽に汚れやカビがあれば交換したくなるだろう。
その場合でも、浴室全体を交換する必要はなく、浴槽のみの交換で対応が可能となる。
この浴槽交換は在来工法の浴槽、ユニットバスの浴槽それぞれで対応可能となる。
しかし、在来工法の場合、グレードの高い浴槽(大理石や木を使ったもの)は見つけやすく、制作もしやすい。
しかし、低グレードのものは、ユニットバスが主流の現代ではサイズや色の選択で苦労する場合がある為、注意が必要である。
また床にそのまま置くタイプの浴室か、埋め込むかでも異なってくる。
床に置くタイプであれば、13万~20万円程度
埋め込みタイプであれば25万円程度である。
これは最安価のFRPを使った場合となる為、さらにグレードを高くする場合は2倍以上の費用が発生する。
また、浴槽を交換ではなく塗装で新品同様にすることも可能である。
その他の部分改修の種類と予算
浴槽の部分的な改修は、壁や天井、床、浴槽に限ったことではない。
常に使用しているドアや窓、防水処理が必要なコーキングなどにおいても細かい改修が必要となる。
ドアの改修に関しても、在来工法のドアとユニットバスのドアで修理や改修を依頼する業者が異なり予算も変わる。
在来工法の場合のほとんどは一般的な建具メーカー(ドアや窓を専門に扱っているメーカー)に依頼することが多いが、ユニットバスであればユニットバスメーカーに依頼する。
まず在来工法の場合、ドアのみを交換するか、ドア枠も交換するかによって大きく変わる。
まずドアのみの場合は1日で交換が可能となる上、予算5万円~7万円程度で納まる。
ドア枠修理、交換の場合新品に交換する場合は15万円~20万円強程度の予算が見込まれる。
また、ドア枠はカバー工法という、既存枠の上からカバーする工法もある。この場合は解体工事が発生しない分安価となり、10万円前後での予算で対応が可能だ。
「お風呂のドアをリフォームしたい!交換時期や種類・相場を解説」
http://furorenove.com/2019/11/19/exchange-time-and-type/
窓の改修に関しては目的と予算に応じて選ぶことができる。
窓の改修は劣化の他に、防犯上やプライベート上、その他様々な事情によって改修する人が多い。
窓の改修は、ドアと同じで窓だけを交換する方法、窓枠を含め効果印する方法、カバー工法がある。
また、窓の種類によっても予算が異なる。
安価な窓交換のみであれば5万円~10万円程度
カバー工法であれば10万円~15万円程度
グレードを上げた窓交換である場合は30万円~50万円程度の予算を必要とする場合もある。
「風呂の窓リフォームを目的別に解説!方法や費用がこれでわかる」
http://furorenove.com/2019/11/07/bath-window-renovation/
シャワーに関しては、およそ1万円前後でヘッドの部分を取り換える事ができる。性能の良いヘッドであればさらに予算必要である。
また、水栓から交換する場合には5万円~の予算が発生する。
「シャワーのみのリフォームがしたい!その種類と費用を解説」
http://furorenove.com/2019/10/07/shower-head/
水廻りで必要不可欠なのがコーキングである。
コーキングのような防水材は一番劣化しやすいと同時に、カビが繁殖しやすいところでもある為、コーキングのみの交換の頻度も高く行われている。
コーキングに関しては、DIYでも簡単そうに感じることもあり、自らの手で修理しようとする人もいるが、意外と難易度が高く、上手くできない場合であれば、防水機能を十分に発揮でき浴室の劣化が進行しやすくなってしまう。
その為、プロに依頼することが近道となる。
コーキングのうち替えは、およそ3万円~5万円程度からである。
浴槽の傷や凹みを補修する場合の予算
浴槽の傷やへこみを交換ではなく、修理で対応することも可能である。
DIYでも可能であると紹介している内容のものもあるが、一般的に難易度が高い為、推奨できない。
ユニットバスの場合、一般家庭におけるユニットバス素材はFRPとなっており、この素材の傷を修理する場合は2万円程度~3万円程度予算が必要となる。
在来工法の場合、仕上げ材によって補修方法が異なる為、予算の幅が広い。
タイルであれば、タイル1枚交換すればよい為、3万円程度、木仕上げの場合は、全体的な補修が必要となる場合は。10万円程度かかってしまう補修もある。
「風呂の傷補修はどこに頼めばいい?補修方法や費用も徹底解説」
http://furorenove.com/2019/12/09/bath-wound-repair/
給水設備の修理や交換の予算
給排水設備の修理や交換も規模に応じて予算が大きく異なってくる。
水漏れ等でパッキン等を交換するのみの修理であれば1万円~2万円程度。
給湯器の熱交換器部分まで大掛かりな修理となると4万円程度の予算を見込む必要がある。
その他、水道管(上水)や下水の修理、交換の場合は20万円以上発生する場合もある。
将来を見据えた改修方法と予算
浴室において将来の為に早い段階から改修し、安心して暮らせるようにする改修を希望する方は多い。
バリアフリー化を行い、不安のない暮らしを目指すことは、現代の高齢化社会には不可欠となる。浴室をバリアフリー化する方法と予算を紹介する。
バリアフリー化したい!予算は?
ここでは一般的にバリアフリー化する方法と予算及び、簡単にできるバリアフリー化について紹介する。
・バリアフリー化の方法別予算
もっともわかりやすいバリアフリー化は、ユニットバスを丸々バリアフリー対応のユニットバスに入れ替えることである。
浴槽に手摺を取り付けることや、入り口を広くすること、さらに、段差をなくすことといったバリアフリーに対応しているユニットバスである。
この場合はユニットバスの総入れ替え予算と同等となる為、およそ70万円~100万円程度の予算が必要となる。
ヒートショック防止の為の浴室内暖房器具を設置する場合にはプラス20万円前後の予算が発生する。
・簡単なバリアフリー化と予算
もともとのユニットバスに、手摺を取り付けたり、段差を解消したりする簡単な改修方法もある。
手摺の新規取付けは、5万円前後
床の段差解消は、6万円~8万円前後
浴室内暖房器具設置には20万円以上
このような予算となる。
「浴室のバリアフリーリフォームのポイント・費用・補助金を解説」
http://furorenove.com/2019/09/17/barrier-free/
浴室を増築or拡張したい!予算は?
将来的に2世帯住宅として住みたい場合や、浴室を拡張しのんびりと過ごしたい場合にも対応することができる。
ただし浴槽の工事は水廻りの工事となる為、一度解体してから新たな物を設置する必要があり、予算も高くなる。
・1つから2つに増やす場合
浴室を1つから2つにする場合には、もともと浴室でなかった所を浴室にするということである。
その為、ユニットバスの料金(商品のみで60万円~90万円)、ユニットバスの組立費用に加え、給水、排水設備の新規構築が必要となる。
この場合は単純に新規ユニットバス設置費で70万円~110万円程度(材料・工事費)
設備工事で20万円~100万円程度かかる。
もともとあった浴室の隣に新規に増やす場合には予算は安く済むが、離れた場所に持っていく場合や階層が異なる場合には高額な料金が発生する。
上層階に配置する場合には、許容床荷重の計算も必要となり、足りない場合には補強工事も必要となる為、さらに予算を必要とすることがある。
・既存の浴室を広くしたい場合
広くしたい場合には、ユニットバスを入れ替える予算プラス、設備改修工事が必要となり100万円~150万円程度の予算を必要とする。
面積が広い浴室は予算が高くなり、もともとの給水、排水位置を変更しなければならない為、より予算が必要となる。
「お風呂の増築や拡張リフォームにかかる費用と注意したいポイント」
http://furorenove.com/2019/12/06/xpansion-and-expansion-of-the-bath/
予算総まとめ!改修別予算比較
■ユニットバスからユニットバス 70万円~100万円程度
さらいハイグレードであれば150万円以上
■在来工法の浴室からユニットバス 90万円~120万円程度
ハイグレードであれば更に高
■床のみのシート改修:5万円~8万円程度
■天井、壁のシート改修:10万円程度
■ユニットバスの壁パネル交換:13万円程度(1枚あたり)
■浴槽交換:15万円~30万円程度
■ドア改修(ドア交換のみ):10万円以内
■カバー工法:10万円程度
■ドア枠、ドア交換:20万円前後
■窓改修(窓のみ):5~10万円程度
■カバー工法10~15万円程度
■窓枠、窓交換:30~50万円
■シャワーヘッド交換:1万円程度
■水栓交換:5万円程度
■コーキングのうち替え:3万円~5万円程度
■傷修理:2万円~3万円程度
■バリアフリーユニットバス入れ替え:70万円~100万円程度
■バリアフリー化部品設置:手摺5万円程度 床段差解消6~8万円程度
■浴室の増築150万円以上
■浴室を広くする:100万円~150万円程度
となる。
これらの予算を参考にこれからどのような住宅で、どのような浴室にしたいか十分に検討して頂きたい。