浴室の中でも床と浴槽は最も汚れやすく傷みやすい箇所である。汚れがこびりついて取れなくなっている床やひび割れが発生している床では、快適なバスタイムを過ごせなくなってしまう。
また、ひび割れから湯水が滲み込み浴室の土台の木部を腐らせてしまう可能性もある。
そのようなことにならないうちに、補修やリフォームが必要になる。
今回は、浴室床の素材別の特徴や床リフォームの種類・費用・DIYの方法などを解説する。
浴室の床の種類と特徴
浴室の床材は在来工法とユニットバスで大きく異なる。
在来工法の浴室ではタイルが一般的だがユニットバスではほとんどのものがFRPなどの樹脂が使用されている。それぞれの素材による床の特徴を見ていきたい。
タイル床
タイルは耐久性や耐水性が高く汚れにも強いため、在来工法の浴室では広く採用されている。
しかし、目地部分に汚れが溜まりやすく乾きにくいこともありカビが発生しやすい。
また、冷たい感触が冬季には不快感となる。
FRP樹脂
ユニットバスの床は多くのものがFRP樹脂製で、一体化することにより防水性を高めている。
FRPは防水性が高く軽く持ち運びがしやすい、耐久性に優れることなどが特長だ。
また、水はけを良くする加工が施されている製品が多く、乾きやすいこともメリット。
しかし、汚れが付着しやすく、経年によりひび割れや色褪せが発生する。
浴室床リフォームの費用相場
浴室の床リフォームの方法は、在来工法の場合タイルの貼り換えをするか、既存タイルの上からタイルやシートを貼る方法がある(ユニットバスの場合はシートを貼るのみ)。
それぞれのケースでの費用相場や浴室床暖房を設置する際の費用などを紹介する。
浴室床タイルリフォームの方法と費用
タイル床の張替えリフォームの場合は、既存の床のタイルを剥がし下地を整え、接着剤でタイルを貼っていく。その場合の費用相場は一般的な床の大きさ(0.75坪)で8万円~。
当然ながら、タイルのグレードや浴槽の広さによって費用が異なってくる。
また、漏水などにより下地や土台の補修が必要な場合は、別途に費用が発生する。
既存のタイルの上から新しいタイルを貼る場合は、既存のタイルを剥がす手間がかからないため施工費は安くなり、施工時間も短縮されるが、新しいタイルの厚みの分だけ脱衣所との段差が少なくなり脱衣所に湯水が流れやすくなる可能性がある。費用は6万円~。
浴室床シートリフォーム
シートリフォームは、既存の床の上にシートを貼るリフォーム方法だ。タイルの上からタイルを貼る場合と同じく、既存タイルを剥がす手間がなく廃材も出ない。
もちろん、マンションなどのユニットバスの上からも貼ることができる。
業者に依頼した場合の費用は一般的な床の大きさ(0.75坪)で5万円~。
床暖房リフォーム
在来工法の浴室では、既存の床だけを剥がして比較的簡単に床暖房設備を設置することが可能だ。
しかし、ユニットバスの場合は全てが一体化されているため、床暖房を設置するためには床暖房設備が組み込まれたユニットバスに交換する必要がある。
床暖房は、電気式床暖房と温水式床暖房があるが、電気式床暖房の方が簡単に施工でき、本体価格も温水式より低価格なものが多いため初期費用が安くなる。
一方温水式床暖房は、浴室を早く均一に暖めることができ、ランニングコストが安いなどのメリットがある。
床暖房の設置費用は、本体価格10万円~30万円と設置工事費5万円~6万円(既存床の解体工事・設置工事・配管工事を含む)が必要になる。
おすすめの浴室シート
各メーカーから、さまざまな浴室用床シートが販売されているが、ここでは東レとフクビの浴室シートをご紹介する。
東リ「バスナシリーズ」
現在浴室床のリフォームで多く採用されているシートが「東リ・バスナシリーズ」だ。
バスナシリーズは発泡複層ビニル素材でつくられており、特長は以下の4点だ。
・素足で触れてもヒヤッとしにくい
・水に濡れても滑りにくい構造になっている。
・クッション性素材により衝撃吸収性がある。
・水はけがよく表面が乾燥しやすい。
「バスナリアルデザイン」は、接触温熱感に優れ高級感があり温浴施設の床や住宅の浴室床に最適。価格は10,600円/㎡。
「バスナフローレ」は、接触温熱感や衝撃吸収性に優れ介護者が膝をついての姿勢での介護も楽に行える。価格は9,600円/㎡。
「バスナアルティ」は、キャスターの走行性が優れたつくりになっており、機械浴室(特殊な機械を設置して入浴介助が行える浴室)での使用におすすめのシートだ。
価格は8,600円/㎡。
※バスナシリーズを採用した床リフォームは、介護保険給付の対象になっている「浴室床材を滑りにくいものへ変更」に該当する。
フクビの「あんから」・「あんからプラス」
フクビの「あんから」は安心でカラッとした床という意味で命名された浴室用床シートだ。
特長は以下の4点になる。
・万が一の転倒時にも衝撃を和らげ致命的な事故を防ぐ。
・表面のエンボス加工により水はけは良好。
・石鹸や水で濡れても滑りにくい表面デザイン。
・断熱効果があり、足裏の熱が奪われににくくヒヤッとした感じがない。
「あんからプラス」は「あんから」に追加ラインナップされた商品で、従来の「あんから」よりも意匠性・水はけ性・防滑性を向上させている。
※「あんから」「あんからプラス」も介護保険の「住宅改修費補助金」の受給が可能な商品である。
TOTOの風呂床「ほっカラリ床」の特長は?
TOTOのユニットバス床の「ほっカラリ床」が人気を集めているが、いったいどんな機能があるのかと興味のある人も多いだろう。
そこで、「ほっカラリ床」の特長を調べてみた。ユニットバスへの交換リフォームを検討中の人は参考にしていただきたい。
・W断熱構造で冬でもヒヤッとしない
「ほっカラリ床」の構造は、表面のFRPシートの下に発泡ウレタンの内断熱層と発泡ポリプロピレンの外断熱層がある。このW断熱構造により床裏からの冷気をシャットアウトし、室温とほぼ同じ温度を保つことができるため、冬でもヒヤッとすることが少ない。
・浴室床が畳の柔らかさ
W断熱のクッション層は、断熱効果だけでなく畳のような柔らかさも実現している。直接床に座っても膝をついても痛くならないため、子供や高齢者にも安心。
・独自の表面形状により翌朝にはカラリと乾く
TOTO独自の床の表面形状と親水効果により、翌朝にはカラリと床が乾く。またお掃除もラクである。
「ほっカラリ床」は優れた機能性を持つ浴室床だが、残念ながら床単独では手に入れることができない。
ユニットバス自体の交換や在来工法からユニットバスへのリフォームを検討されている人は、床の機能性もよく理解して選ぶようにしよう。
DIYリフォームの方法・手順
浴室の床を最も手軽にDIYリフォームできるのは、浴室用シートを貼る方法だ。
DIYを行う際は、東リの「バスナシリーズ」もフクビの「アンカラシリーズ」もそれぞれ別売りの接着剤や施工道具がセットされた商品を購入する必要がある。
ここでは、フクビの「あんから」を使用したDIYでのリフォーム方法と手順を以下に解説する。
①床面に型紙を敷き、型紙が動かないように床面にテープで固定する。
②排水口の位置と床面外周部の位置を出す。
➂型紙を裁断し、床シートに写す(床シートの裏面に型を写す)。
④カッターで正確にシートを裁断する。
⑤床面に仮置きする。
⑥床全面に接着剤を塗布する(接着剤の使用量の目安は5坪の床に接着剤1.5本程度、フクビの接着剤はオープンタイムを取る必要はない)。
⑦床シートを接着する(シートの巻き癖を直してから施工する。巻き癖が残っていると剥がれや浮きの原因になる)。
⑧ローラーを使用してシートを圧着する。
⑨シーリングを充填する部分(壁との取り合い部分・側溝廻り・排水口の周囲など)にマスキングテープを貼る(シーリング充填部にゴミや埃がある場合は取り除いておく)。
⑩最初に接着剤を充填し隙間の処理を行ってからシーリング剤を充填する(接着剤とシーリング剤の二重処理を行う)。
⑪充填後はヘラで平滑に仕上げる。
⑫マスキングテープを取り除く。
⑬接着剤が硬化するまで24時間以上養生する(硬化するまでは入浴できない)。
「あんから」の対応下地はタイル床・FRPの床のみ。コンクリートやモルタル床には施工できない。
また、施工したシートの裏面に湯水が浸透しないように、末端処理・シーリング処理は確実な施工が必要になる。
フクビでは、浴室用シートの端部処理が容易に行える各部材(別売り)が用意されているがAmazonではまだ市販されていない。必要な場合はメーカーに問い合わせてみよう。
https://www.fukuvi.co.jp/application/files/9615/6015/7880/ankara-catalog.pdf
DIYが難しい場合はプロに依頼!
前項で浴室床シートのDIYリフォームの方法と手順をご紹介したが、浴室はどの部分の施工であってもDIYの難易度が高く、DIYの初心者にはおすすめできない。
特に床や浴槽は常に湯水に浸る箇所であるため、確実な施工技術が求められる。
浴室のリフォームに慣れていない人が施工すると、施工不良からせっかく貼った床シートもすぐに浮きや剥がれが発生し、失敗につながることが多い。
失敗すると二重の手間となるだけでなく、再度接着剤やシーリング剤、さらには新しいシートを購入する必要も出てくる(裏面に水が入りカビなどによってシートが使えなくなることもある)。
「骨折り損のくたびれ儲け」にならないためにも、余程DIYに自信のある人以外はプロに任せることをおすすめする。
本サイトの「ふろリノベ」は高い技術を誇りとする浴室修理・浴室リフォームのプロ集団だ。
浴室のことなら、どのようなことでも是非「ふろリノベ」にご相談いただきたい!
床シートをいつまでもきれいに使用するには
せっかくリフォームした浴室の床は、できることならいつまでもきれいに使用したいものだ。きれいの持続には、日常のちょっとした注意や心がけが大切になる。
以下に日常で注意しておきたいポイントや掃除の方法を紹介する。
日常の注意点
・浴室で毛染めはしない
毛染め液が床シートに付くと汚れが取れなくなる。浴室内での毛染めは避けることをおすすめする。
・金属の物を床に置かない
ヘアピンやカミソリ・スプレー缶などの金属類を床面に放置すると錆が発生し、錆汚れを取り除くことが困難になる。金属類は浴室に持ち込まないことを心がけたい。
・ゴム製品を24時間以上接触させない
浴槽のゴム栓や、浴室椅子などのゴム部分を床シートに24時間以上接触させると変色の原因となるため注意が必要。
・油や有機溶剤は使用しない
シンナーやベンジン、除光液などは使用しない。滑りやすくなったり床材の表面が侵されたりすることがある。
・入浴後は早めに掃除
まだ濡れているうちに手早く汚れを落とすと汚れが溜まりにくくなる。早めの掃除を心がけよう(石鹸や皮脂が乾くと落としにくくなる)。
・入浴後はしっかり換気する
入浴の後は湿気がこもらないように、窓を開けたり換気扇を回したりしてしっかり乾燥させカビの発生を防ぐようにしよう。
浴室シートの掃除方法
浴室シートの日常の掃除は、柔らかいスポンジに浴室用中性洗剤を付けて擦り洗いする。
その後、熱めのお湯(45℃程度)で洗剤を洗い流し、最後に冷水をかけて浴室を冷ますようにしよう。
表面に残った水滴もモップやタオルで拭き取ってから換気しておくと水滴跡が付かない。
※カビは熱と乾燥に弱いため、熱めの湯と換気がカビの発生を抑制する効果がある。
また、頑固な汚れが付いてしまって浴室用中性洗剤でも落ちない場合は、クリームクレンザーを歯ブラシなどに付けて擦り洗いし、やはりよく洗剤成分を流してから残った水滴をモップやタオルで拭き取り乾燥させよう。
まとめ
浴室床シートリフォームをDIYする場合、事前に確認しておきたいことが、床面から躯体への漏水の有無だ。
特に経年により床が劣化し、タイル目地の欠損やタイルの割れ、ユニットバスでもひび割れが目立つなどのケースでは漏水の有無を確認し、漏水がある場合はしっかり補修を行ってから床シートを貼らなければならない。
また、床面に十分な水勾配が取れない場合も施工できない。シートを貼る場合の水勾配は排水口に向かい2/100~3/100程度取る必要がある。
浴室床のDIYリフォームは、技術的な問題だけでなくさまざまなことに注意が必要だ。
「やはりプロに任せた方が安心…」と思われる人は、「ふろリノベ」までご連絡を!