風呂の天井はカビが繁殖しやすい。カビのできる主な要因は、温度と湿度である。
気温25℃~30℃程度で、湿度が70%以上の環境で発生しやすいことがわかっている。
風呂の天井は上記のカビが繁殖する条件が満たされている為、換気や掃除を怠ってしまうと
蓄積されたカビが年々頑固な汚れとなり普通の掃除では落としきれなくなる。
その場合は天井のリフォームがおすすめである。
今回は天井のリフォームと予算を紹介する。
また自分でも可能なDIY方法も紹介する。
風呂の天井を改修する方法
風呂の天井を改修する方法は、現状の天井仕上げによって異なるが、大まかな道筋は変わらない。ただし道筋は異なっていても、使用材料や種類が異なることがある為注意が必要となる。
改修方法としては予算に応じて異なり、安価で簡単な改修方法から、まるごと改修してしまう方法がある為、予算や目的に応じて選択すると良いだろう。
まずは、目的と方法を絞ることから始めてみると良い。
浴室の種類によって改修の方法も様々
浴室は大きく分けると2種類存在する。
・在来工法の風呂
在来工法とは、日本元来から伝わる組み立て方法である。風呂空間を木材やコンクリートで作り、その中に風呂釜を設置する。古い物ではバランス釜などがある。
在来工法は、通常の部屋と同じ作りで間仕切壁・天井をつくり、防水処理をしている。
・ユニットバス工法
ユニットバスは、組み立てタイプの風呂である。現代の風呂はホテル等の宿舎から住宅まで大浴場以外の個室風呂では幅広く使用されている工法である。
新築工事では床の下地と風呂周りの間仕切り下地を施工した後にユニットバスを組み立てる工程となる。
在来工法の風呂からユニットバス工法へのリフォームも可能である。
大きく分けて2つの工法によって分けられ、それぞれの改修方法が存在する。
さらに細かく分けると、仕上げによっても改修方法が異なる為、注意が必要となる。
・在来工法の仕上げとは
在来工法の方がユニットバス工法よりも仕上げ方法が多い。
・木仕上げ・コンクリート(モルタル仕上げ)・タイル仕上げ・その他
これらの仕上げによって改修方法も異なる。
・ユニットバス工法の場合
ユニットバスは多くの場合、FRP(繊維強化プラスティック)で作られている場合が多い。
その為、改修方法は少ない。
高品質なユニットバスの場合は大理石等の石材等その他の材料を使用している場合もあるが稀である。
ご自宅の風呂の種類を知る
ご自宅の風呂がプラスチックのような物でできている場合はユニットバス工法で作られている場合が多い。
風呂の壁や天井がプラスチック以外の場合は在来工法の風呂の可能性が高い。
仕上げによって改修方法も異なる為、風呂の種類や、材質は知っておく必要もあるが見た目や感触から仕上げを判断しても構わない。
ユニットバス工法の場合
ユニットバスの仕上げは前述でも紹介した通り、FRPの場合が多い。
その為、改修方法は多くなく、どのように改修したいかによって、絞ることが簡単である。
ただし、改修方法によっても予算は大幅に変化していくため、予算を確認してから改修方法を検討すると良いだろう。
パネルを交換・更新する
ユニットバスのパネル自体を変更することが可能となる。
ユニットバス改修と聞くと、全面リフォームを思い浮かべる方も多いが天井や壁の1枚(1面)からの改修も可能となる為、全面改修よりも費用は抑えることが可能となる。
汚れや模様替え等、様々な用途で変更が可能な為、予算に応じて検討しても良いだろう。
パネルの交換となる為、ユニットバスの長寿命化も期待できる。
また全面リフォームの場合は予算的に厳しい状況でも、天井、壁をそれぞれ別のタイミングで改修することにより支出バランスの調整が可能となり長い期間ユニットバスの使用が可能となる。
ただし、メーカーによって選択できない商品もある為、十分な検討が必要となる。
シートを張る
ユニットバスの天井に専用シートを張って改修をすることも可能となる。
専用シートは耐水性で腐食に強く、剥がれにくい特性が備わっているため、安心して使用することができる。
逆に、上記の特性のない一般的なシートを張ることはできない。
シートの場合は多様な種類がある為選択の幅が広がり、希望に近いデザインを選択しやすい。さらにシートはパネルよりも安価であり、施工時間も短い。DIYも可能となる。
シート改修の場合はユニットバス本体をリフレッシュすることではない為、劣化抑制や長寿命化には影響されない為、将来的な改修も必要となる場合がある。
在来工法の場合
在来工法の風呂の場合、天井改修は改修前の仕上げによって改修方法は異なる。
現状の仕上げによって改修方法も異なってくる。
仕上げによっては共通の改修方法もあるが、その反対で、施工方法、改修方法が限られてしまう場合もある為注意が必要となる。
天井のタイルを張り替える
天井がタイル張の場合はタイルをリフレッシュさせることが可能となる。
現状のタイルを解体し、新しいタイルを張る為、施工日数は数日かかる。
時間はかかるが、よりきれいな状態にすることも可能な為満足のいく仕上がりになるだろう。
さらに、以前に比べ、タイルのデザインも多種多様に存在している為、イメージに合った空間を演出することもできる。
現状の天井が在来工法のタイル張りではなく、コンクリートやモルタル仕上げでもタイル施工が可能である。
木材仕上げの場合、コンクリートやモルタルに直で木材を張っている場合は可能だが、それ以外の場合は難しい可能性が高い。
塗り替えをする
現状の在来工法の浴槽で仕上げがコンクリートやモルタル仕上げの場合塗り替えが可能となる。
塗り替えであれば工程も少なく短い時間で終了し、さらにどのような色でも対応ができる。
冬場等の気温の低い期間では塗料が乾くまでに時間を要することとなる為、午後に塗り替えた場合は、当日の入浴が不可能となることもある為注意が必要である。
タイル仕上げの場合でも塗り替えは可能である。
タイルの上から塗ることも可能であるが、見た目に影響される為、十分検討する必要がある。
タイルを解体してからの塗装も可能である。
解体→下地調整(モルタル等)→塗装
また、タイルの上からモルタルを塗りその後、塗装
このような工程となるため、数日間かかる。
DIYも可能であり、ホームセンターで浴室用や水廻り用の塗料が購入できるため、便利である。
モルタルを上塗りする
在来工法の浴室で、コンクリートやモルタル仕上げの場合はその上からモルタルで仕上げることも可能となる。
新しい仕上がりとなり、気分もリフレッシュできるだろう。
タイル仕上げの場合も可能であり、解体せずともタイルの上からモルタル塗りが可能である。
いずれの場合もその後塗装等で仕上げることも可能となる。
シートを張る
在来工法の浴室の場合も天井にシートを張ることが可能となるが、現状の仕上げに注意が必要である。
コンクリートやモルタル仕上げの場合は、その仕上げ面が下地となる為、下地調整が必要になる場合がある。下地調整が不要の場合でも、コンクリートやモルタル対応の接着剤やシートを選ばなければならない。
タイル仕上げの場合は必ずしもタイルを解体しなければならないわけではない。
商品によっては、タイル上からシートを張ることができるものもある為、簡単に短工期で済ませたい場合はそのような商品を選ぶ。
天井が木仕上げの場合は直貼りが不可能となる。
木仕上げの解体や、下地調整等多くの工程が必要だ。
コンクリートやタイル仕上げの場合、シート改修ではDIYが可能となる。
DIYでは【ユニットバスはシート】【在来工法はシートor塗装】
ユニットバスの場合は、シート改修であればDIYが可能であり、在来工法の浴室ではさらに塗装もDIYが可能となる。それぞれのDIY方法を紹介する。
(シート改修)用意する材料・工具
・シート本体
・接着剤(付属がないい場合)
・ヘラ
・雑巾
・ビニールやブルーシート
(シート改修)DIYの手順
①まずは天井をよく清掃する。
水垢やカビはできるだけきれいに除去する
②この後十分に乾かす。
水分があると、接着剤がつかずにすぐに剥がれる。
➂浴槽・床を養生する
④接着剤をまんべんなく塗る。
ヘラを使用し、隅々まできれいに塗る。多すぎても不良となる可能性がある為、多い場合は除去する
接着剤の種類によって、時間をおいてから貼るもの、すぐに貼るものと、異なる為、接着剤の使用方法は十分に確認すること
⑤シートを張る
シートが貼れる状態になったらシートを張る。
施工は1人では難しい。2人以上で行うことを推奨する。
コーナーや端部はヘラを用いて十分に押し付ける
⑥乾燥させ完了
シート張りの注意点
シート張りは最初と最後で、十分な乾燥が必要となる為、気温の高い時期もしくは、浴室内を暖める設備を配置した方が良い。
タイルの上から行う場合は2パターンある。
・接着剤を下地調整もできる種類を使用する
この場合は全体的にフラットになるようにまんべんなく塗る。パテをイメージするとわかりやすい。
・シートよりも厚いパネルを使用する
厚みのあるパネルを使用して改修する方法もある。
いずれもシート改修とどうようの方法で改修が可能だ。
どの作業においても接着剤使用時では必ず換気を行う必要がある。
また、複数人で施工することが大切である。
塗装DIYの場合の準備
・塗料
・ハケ(数種類)
・養生材
・養生テープ、マスキングテープ
・ハケを洗うもの
(塗装改修)手順
- シート改修同様にきれいに清掃し、しっかり乾かす。
乾燥が足りないと塗装は不可能。
- 塗らないところは全て養生する
塗料は飛びやすい為、床面だけでなく壁や窓も養生する
- 端部に養生テープやマスキングテープをはる
端部にテープを張ることによりはみ出すことがなく、綺麗に仕上がる。
プロも同様の手法を行っている。
- 塗装する
広い部分は大きいハケで、端部等は細かいハケで塗ると綺麗に仕上がる。
- 端部のテープをはがす
浴室塗装では水性塗料が用いられることが多いが、油性でも可能である
油性の場合硬化を待つと塗料も同時に剥がれる危険がある為、作業終了後にすぐテープをはがす。
水性の場合は作業直後に剥がせない場合は硬化後でもよい。
塗装の注意点
油性塗料の場合はシンナー等の有機溶剤を使用することとなるので必ず換気を行う。
すこしでも体調に変化を感じた場合はすぐに作業を中止する。
最悪の場合、死亡する恐れもある為、意識障害が発生した場合は病院にすぐに行く。
仕上がり的にも扱い的にも、一般の方は水性塗料が望ましい。
天井だけでなく壁や床もリフォームする
天井だけではなく全体をリフォームすることも改修候補である。
浴室をリフレッシュすることにより日常生活にも良い影響を与えることもある。
住宅の築年数が経過していても、最適な方法で生まれ変わり、より良い日常をおくることができるのである。
付帯工事として天井改修と同時にできる改修工事を紹介する。
風呂を丸ごと入れ替える
在来工法の浴室でもユニットバスの浴室でも新しいユニットバスに交換することも可能である。
在来工法からユニットバスでは10日程度、ユニットバスから新しいユニットバスへの交換は5日~7日程度でできる。
風呂は日常で唯一、裸になり過ごすところである為、最新できれいになることによって心も日々リフレッシュできるだろう。
シートなどですべて更新する
浴室の全リフォームの場合では予算上で難しい場合、天井以外にも床や壁もシートで改修することにより、新たな空間が出来上がり快適に過ごすことができるのはないだろうか。
時間がかかっても良い場合はDIYでも改修できる。
リフォーム方法による予算とは
リフォーム方法によって予算も異なってくる為、予算から希望の改修方法を選択しても良いだろう。
また、ここではDIYでも可能な改修方法はDIYによる予算についても併せて紹介する。
パネル交換の予算
パネル交換に関しては専門業者に依頼するしかない。
さらにはユニットバスのみ有効となるが、天井のみのような1面であれば¥50,000~¥70,000程度となり、壁を含め全面改修するとなる場合は¥200,000前後となる。もちろん等級や材質に応じても大きく異なる。
風呂桶の改修は別途費用が発生する。
天井の形が以前使用していたものと異なる場合電気工事が発生する場合もあり、別途費用が発生する可能性もある。
タイル替えの予算
在来工法の浴室が対象となるタイル替えの改修方法。
タイル替えの場合は、予算は施工方法によって異なる。
・タイル→タイルの場合
タイルを解体しなければならない為、解体費+処分費で¥50,000前後
下地調整で¥30,000~¥40,000程度
新規タイル施工で¥50,000程度となりトータル¥150,000程度となる。
しかし浴室のような小規模となると、まとめて工事を行うことができる場合¥100,000程度もしくはそれ以下で依頼できる業者もある。
・コンクリート又はモルタル仕上げ→タイル
下地補修が必要な場合は¥100,000程度、補修が必要でない場合は¥50,000程度で施工可能となる。
モルタル上塗りの予算
モルタル仕上げを塗り直す場合は施工費と材料費で¥30,000~¥50,000程度で施工が可能である。
タイルからモルタル塗りにする場合でも同様の金額となる場合が多い。
タイルを解体する場合は解体費用が上乗せされる。
塗装の予算
・コンクリートもしくはモルタル塗り→塗装
・タイル仕上げ→塗装(解体無し、タイル上から塗装)
¥30,000~¥50,000で可能である。
面積が小さいが、人件費が発生する為、壁等一緒に塗装しても金額が大きく上がらない為、依頼する場合は天井だけでなく、壁も塗装依頼した方が良い。
その他の仕上げからモルタル塗りの上塗装仕上げにすると、下地、仕上げによって、¥100,000~¥150,000程度発生する。
・DIYで塗装する場合
材料費が¥2,000~¥3,000程度
その他のハケや雑費で¥2,000程度
合計で、¥5,000程度で塗装が可能となる。
風呂入れ替えの予算
ユニットバスを総入れ替えする場合、もともとの浴室が在来工法かユニットバス工法かによって予算は異なる。
さらに大きさによって異なるが一般的な一坪ベースで紹介する。
・ユニットバス→ユニットバス
この場合は70万円~90万円程度。
電気工事等が発生する場合は100万円前後となる。
・在来工法→ユニットバス工法の場合
およそ90万円~130万円程度の費用が発生する。
予算幅が大きいのは、現在の住んでいる自宅の電気設備や給水配管設備等の状況により工事の幅が大きく変わる可能性がある為である。
まとめ
浴室の天井改修は簡単な方法を選択すれば安価で早く進めることが可能となる。
当サイトの「ふろリノベ」は今回紹介した塗装やシート・パネル貼りでのリフォームを専門としている為、費用を押さえたリフォームをお考えの際にはご相談いただけたらと思う。
長寿命化も目的とするのであれば、さらに大掛かりな改修も必要となるが、建物全体の改修や建て替えについては、将来の事と併せて考え、十分に検討していただきたい。本稿を参考によりよい改修方法を選択してほしい。