風呂のリフォームを検討しているなかで、色も選択の中で重要な項目のひとつとなる。
色の選択次第で、空間演出が大きく左右される。
色合いは人の心にも影響を及ぼす為、バスタイムをどのように過ごしたいかによっても適した色が変わってくるだろう。
さらに最近はアクセントカラーとして一面だけ壁色を変え、空間を演出することが流行っており、それは浴室でも取り入れられている。ベースカラーとアクセントカラーをどのように組み合わせるかも悩みどころとなる。
今回は風呂の色を選択する方法や色合いがもたらす効果、組み合わせについて解説する
色合いがもたらす効果とは
色は、人の心理に大きく影響を与える。
例えば、壁、床、天井が同じ一色だけの部屋に特定日数入り心理状況を調べると、色によって人の精神状態が大きく異なっているということが実証されている。
これから紹介する色の効果は、心理的に影響してくる印象であるが、それぞれ好みもある為、参考としてご覧いただきたい。
ダーク系
ダーク系では、ブラック系、ブラウン系がある。ブラックといっても、完全に真っ黒は少ない。ブラックに近いグレーであったり、ホワイト系のグラデーションを混ぜた色使いや、石調や木目調であったりすることが多い。
ダーク系の場合は大人の雰囲気を醸し出しやすい。落ち着きのある大人の空間が誕生する。浴室で使う場合には壁が4面あるうちの1面をアクセントカラーとしてダーク系を用いることが多い。
3面はホワイト系、1面をダーク系とすると高級感漂う中でゆったりとした落ち着いた気持ちになりやすい。
ダーク系は、カビは目立ちにくいものの、水垢汚れは目立ちやすいが、水垢汚れを早い内に見つけることができ、掃除に取り掛かりやすい。
暖色系
暖色系での心理的影響では明るい気持ちにさせる効果や、色彩的には彩度が高い色は『興奮色』と言われており、気持ちを高める効果がある。
彩度が高いとは、より鮮やかな色ということである。サッカーJリーグのイメージカラーで例えると、浦和レッズの赤や、柏レイソルの黄色、大宮アルディージャのオレンジ等が、彩度が高い。空間的には彩度が高い場合、落ち着かないこともあるだろう。
気分が良いときと悪い時で居心地の良し悪しは異なってくる場合がある。ただし、赤等であっても、ワインレッドのようなくすんだ赤であれば、使い方によっては高級感を演出することができる。
同じ暖色系でも柔らかい色合いであると優しく穏やかな気持ちにさせる。柔らかい暖色系は、明度の高い色に白を加えた様な色である。レモンイエローやピンク、水色等である。
ホワイト系
ホワイト系は膨張色であり、空間を広く見せる効果がある。
ホワイト系といっても様々あり、完全な真っ白ではなく、少々グラデーションが入ったものや、ベージュ系等が混ざった色もあり、メーカーの色見本を見ても黄色系の白、橙系の白、グレー系の白などがある。
ホワイト系は大きな括りだが、統一して清潔感や華やかな印象を与える。
浴室空間的には水垢が目立ちにくい。しかし、赤カビや人毛は目立つ為、清掃には注意したい。
パステルカラー系
色のトーンは大きく分けるとパステル系、ビビット系、ダーク系で区別される。
さらにダーク系よりも明るいものはグレイッシュ系など、細かい分類や正式名称は他にあるものの、パステル、ビビット、ダークの違いを覚えておくと浴室に関するカラー選びに
問題はない。
ダーク系は最初に紹介したように黒が混ざった暗めの色を指す。
ビビット系では前述で紹介した彩度が高い色のことである。混じりけのない発色良い色だ。
パステルカラーはビビット色に白を混ぜた色である。和名色では桜色や紫陽花色、檸檬色などがある。
女性に人気の色合いの為、女性専用賃貸や寮などに用いられることが多々ある。
壁と浴槽の色の選択肢とは
特注色以外の色では金額が大きく変わらないが、お子さんがいらっしゃるファミリー層には明るい印象のホワイト系か、パステル系にする方が多い。
単身者の方や高級感を出したい方はダーク系を選択する人も多い。
落ち着いた印象にしたいが、そこまで高級感を出さなくても良い場合には、ブラウン系がおすすめである。ナチュラルな木目調の壁材パネルも種類が多くあり、落ち着いた雰囲気の中、明るさもある。
明度の高い赤やオレンジ等の暖色を使用したい場合でも、一面のみであれば想像よりも落ち着きがないことはない。高彩度な色は好みに左右されるが、リビングや他の部屋では使用しにくい為、浴室を「特別な空間」として演出したい場合には有効的である。よりプライベート感が高くなる。
汚れを気にする場合の色の選択肢
同じ汚れでもベースの色合いによって汚れが目立ちやすい場合やその逆もある。
どの色を選択したからといって、全ての汚れをクリアできるわけではないが、気になるポイントを減らすこともできる。
汚れが目立ちやすい色が嫌いなアナタヘ
ホワイト系は、水垢等が目立ちにくい。水垢は、浴室内の鏡にこびりついてしまう汚れである。鏡を見ればわかるように、水垢は白い為、壁についた水垢は目立ちにくい。
しかし、髪の毛や赤カビは目立ちやすい。
黒や赤は高級感を生み出せるが、水垢汚れは目立つ為、汚れをそのままにしておくと非常にみすぼらしくなるので要注意だ。
汚れが目立ちにくい色ではグレー系や青系、茶色系がお勧めである。この2色は一般的に汚れが目立ちにくい色とされている。しかし、水廻りの汚れは臭いの原因にもなる為、目立っていないからといっても、定期的な清掃は必須である。
汚れてもすぐ掃除!そんなアナタは
ホワイト系や黒系は汚れを目立たせてしまう場合もあるが、逆にあえて目立たせすぐに清掃できるようにする方々も多い。
目立たなければ見逃してしまう汚れもすぐに対処できる。浴室は裸で入り、子供も利用する場所である為、常に清潔にしておきたい場所と考えている人も多いのである。
その様な場合は汚れが目立ちにくい色にすると、見逃してしまうことにもなる。
簡単に汚れを落とす工夫とは
浴室の敵はカビである。カビは、20度~で湿度の高いところに最も繁殖しやすい。それを防ぐ簡単な方法は常に換気することである。
清掃も重曹に漬け込むことや、クエン酸を水に薄めたスプレーを掛け、清掃するとカビの栄養源である汚れが落ちやすい。
アクセントカラーの選び方
アクセントカラー配色とは、4面ある壁のうち1面を異なる色で演出した空間である。
近年の建築でよく取り入れられており、浴室だけでなく、居室やトイレ、エントランス等でも用いられることがある。空間に個性を出したり、メリハリを出したりするのに有効的である。
1面だけ異なった色を取り入れるとしても、特別な色や素材を使用しなければ金額は変わらない。浴室だけでなく、居室等においても同じである。アクセントカラーの選択例を紹介する。
アクセントカラーが及ぼす影響とは
通常、浴室を含め各部屋に鮮やかな色やダーク系を使用することは多くない。家具との組み合わせの難易度が高く、また一度思い切ったカラーを壁に施すと、テイストを変えたくても行いにくいからである。
その為、白に近いベージュ等が最もポピュラーである。
しかし、1面のみであれば、少し取り入れやすい。
例えば、3面をホワイト系、1面をブラックやダークブラウンにすると、大人なイメージで高級感が溢れてくる。
パステル系でも同じで、4面レモンイエローの場合、住居としては落ち着かない空間となるが、1面だけであれば可愛らしく、癒される空間を演出することができる。
このようにアクセントカラーを取り入れるだけで、一般的な住宅でも『アナタだけの空間』を作り出すことができるのである。
アクセントカラーの組み合わせ方とは
アクセントカラーの組み合わせは様々である。
先ほど紹介した通り、ホワイト系3面+ダーク系1面
同じように高級感を出す組み合わせとして、赤をチョイスしてもよい。
浴室の場合は3面ホワイト系にすることが多い。
そして、黒や赤といった単色ではなく、それぞれの色やその他にグラデーションを施したものもある。
さらには、木目調のものやレンガ調の色合い雲をモチーフにしたデザインもある為、お好みで選んでみても良いだろう。
浴室の色の組み合わせ実例とは
浴室の組み合わせ事例を紹介する。
浴室メーカーのtotoのサイトではカラーシミュレーションが可能なので、是非お試しいただきたい。
【totoカラーシミュレーション】https://jp.toto.com/products/bath/synla/color_simulation/
・ホワイト+ブラック系
ホワイトに黒を入れることによって、高級感や空間の引き締め効果を生み出すこともできる。
・ホワイト+ブラウン系
ブラウン系を入れると、ブラック系よりも少々明めの印象になる。
ブラックの場合は固すぎてしまい、それを好まない方はブラウン系をチョイスする方が多い。
・ホワイト+水色系
全体的に明るいイメージの空間ができるがホワイトだけの場合、無機質な空間となってしまうが、パステルカラーである水色を入れることにより。癒し空間が生まれる。
近年、病院の看護師さんが白い白衣ではなく、水色やピンクを着ていることと同じである。
・ホワイトのみ
ホワイトのみの場合無機質な空間となり、逆に緊張感のある空間となってしまう場合もある。好みにもよるが、アクセントカラーを加えたほうが、より良い空間が生まれるのではないだろうか。
上記紹介した4つの配色は選ばれることが多いものである。
さらにメーカーによっても異なるが、より高級感や落ち着きのある空間をできる組み合わせも存在する。
・ホワイト+ブラウン系(木目調)
前述のブラウン系よりも高級感は増す。さらに木目調というデザインにより、自然の印象も与えられ、癒しの空間を演出することができる。
さらにナチュラルウッド調であれば、鮮やかな色合いで、ホワイト系とも組みあわせも抜群である。
・ホワイト+黒(石目調)
通常の黒よりも、より高級感を演出できる。黒の引き締め感も絶大であり、存在感も増す。特別な空間になることは間違いないだろう。
大理石風であれば一層高級感を演出できる。ブラック系は大理石風など素材の風合いが楽しめる組み合わせの方が、一般的な黒よりも選ばれることが多い。
・ホワイト+パステルグリーン
森を印象付けた組み合わせである。パステルカラーという癒し度の高い色合いと、自然な色合いで癒し空間を作り出せる。
・ホワイト+ブルー系
先に紹介した水色と異なり、濃いブルー系になると、高級感が増す。人気色のひとつである。
・ホワイト+ピンク系
濃い目のピンクでは、好みは分かれるものの個性的な印象を与えることができる。
パステルピンクであれば、癒し効果が期待できる。さらに大理石調であれば高級感も加えられる。
より高級感を求めて
単色よりも、石調や、木目調、パステルカラーを加えるとより高級感が増すことや明るい空間を演出することが可能となる。ここからはより高級感を重視した物を紹介する。
・ホワイト+ワインレッド
少々濃い目の赤が、赤色が高級感を生み出す。赤色でもくすんだ色であれば、落ち着いた空間も可能となる。
より高級感を生み出すことのできるのが石調である。先に紹介したように、アクセントカラーにブラックを入れたいが、マットであればどこか人工物のようで暗く冷たいと感じる場合も、大理石風であれば暖かな高級感を出せる。
色だけでなく、素材感も重要な要素であることを覚えておいていただきたい。
紹介したように、様々な色との組み合わせで印象や空間演出を操作することが可能となる。
好みに合った色や、浴室という空間にどのような効果を求めるかによって色を選択することができるのである。
風水を用いた色の選択も◎
空間演出や印象以外でも風水を利用して浴室の色をきめることもできる。
玄関の方向や、リビング、子供部屋の方角も風水のようなものを用いられていることがある。また、北枕が、縁起が悪いのは、風水ではなく、仏教的な考えではあるが、風水と同じように縁起等から発せられている。
風水で色を選ぶ場合はどのようにする?
風水における浴室の色は単純なものではない。
方角と色が合わさってより効果を発揮するといわれている。
北×暖色系=夫婦仲アップ
北東×白系=清潔感アップ
東×赤・青・白・緑等=恋愛、仕事アップ
南東×優しいみどり、オレンジ=子宝アップ
西×白(パステルカラーもOK)=金運・家族運アップ
このように方角と色の組み合わせにより、運気を開く効果があるとされている。
必ずしも壁の色をこの色にする必要はなく、タオルや、飾り物等でも効果がある。
まとめ
浴室に求めるものは個人によって異なる。
シャワーで体の汚れを落とすだけの方もいれば1日の終わりにリフレッシュとして入浴する方、ボーっと休む方もいれば、本や、テレビを見る人もいる。
浴室の配色を決める際には、浴室でどのような時間を過ごしたいかを考え、目的に応じて好みの色を選択すると後悔は少ないだろう。