浴室の床や壁が汚れたりヒビが入っていたりと浴室のあらゆるところに気になる部分がでてきてはいないだろうか。
築年数が経過すると、どうしても落ちない汚れや水垢がこびりついてしまうことは仕方のないことである。
ユニットバスではない浴室であれば床や壁がタイル仕上げであることが多いが、その各所にヒビが入ってきてしまうのは、施工不良ではなく劣化である。
しかし、浴室を大規模に修繕すると大幅な予算が必要である。
そこで今回は、浴室のシートを使用してリフォームする方法を紹介する。
劣化している床や壁を解体せずにリフォームできるシートがあるのはご存知であろうか。
大規模に修繕する必要もないので比較的安価で簡単に、DIYで施工することができる。
浴室で使用できるシートとは
浴室で使用されるシートは水気に強くなければならない。
そのため室内で使用するシートを併用することはできない。
貼ることは可能だが、シートがすぐに剥がれることや、汚れ、カビ等により侵される可能性も高い。
これらの要因から、浴室専用のシートで「浴室シート改修」をすることが最も効果的である。
一概に、浴室用シートといっても一括りにできないことがあるので、種類や用途についても十分に注意が必要となる。
浴室シートの種類
浴室では専門のシートを使用する。
浴室でシートを貼ろうとする場合は、床用シート、壁用シート、天井用シート等でシートを張る部分によってシートの種類が異なる。
壁用や天井用では併用できるタイプもあるが、床用では、「床専門」となることが多い。
床は塗れると滑りやすくなる為、滑りにくくしてあることが多いからである。
また近年のシートではデザインも多様であり組み合わせ仕出しで好みの空間を演出することもできる。
また、浴室の現状がタイルである場合でもタイルの上から施工できるシートもある為、大変便利である。
では実際にどのような種類のシートがあるか紹介する。
床で使用するシートとは
床で使用するシートは「滑りにくい」仕様である場合が多い。
滑りにくいだけではなく、水はけや断熱性にも大きな作用を促す商品もある。
タイル床の場合、冷たく堅い床だが、その難点も一気クリアできてしまう、というわけである。
色もアイボリーやピンクといった明るめの色から、ダークブルー等の暗めの色まで多様にわたっており、好みに応じて色を選択できる。
業者に依頼することも可能であるが、DIYでも十分可能であるため、浴室の床シートを思いのままに自身でリフォームしている人も多い。
壁で使用するシートとは
浴槽の壁で使用するシートはレンガ調のものや木目調のもの、明るいトーン、暗いトーンまで多様に取り揃えてある。
床と異なり、滑り止め機能が必要なく、防水性能を持っていればキッチン等の水廻り部分と併用できる商品も多い。
壁だけでなく天井でも使用できるため、床と壁を同じデザインで統一することも可能である。
壁シートによって浴室の雰囲気やテーマが大きく異なる。
小さい見本で見ている場合よりも、面積が大きくなると色が薄く見えることがある。
濃い木目調のデザインを希望した際に、実際に完成したものを見ると思ったよりも明るい雰囲気になってしまったという声も多く上がるので注意が必要となる。
メーカー別シートの紹介と特徴
メーカーによって特徴やメリットが異なる。
東リのバスナフローレでは、防滑性能や、水はけ性能、ショック吸収性や断熱性が売りの商品である。
さらに、今ある床のタイル上からリフォームできるという利点もあり、簡単に作業が可能となる。住宅のような浴室から大きい浴室まで対応可能だ。
フクビ工業のペディシート 浴室用床シートも、防滑性能や断熱性能に有効でありタイルの上からリフォームすることが可能となる。
逆を言えば、この商品はコンクリート素地での施工は不可能となる。
床のシートは厚さやデザインもメーカーや商品によって変わるため、実際に見本を手に取って質感を試したほうが失敗は少なくなる。
浴室にシートリフォームを行うメリットデメリット
浴室にシートリフォームを検討している方にメリットとデメリットを紹介する。
リフォーム後に後悔や失敗をしない為には、メリットやデメリットを知っておくことにより極力、失敗を避けることができる。
また、リフォームに迷っている場合にもどのような方向性に進むかを検討する材料になるだろう。
どのような方針にするにせよ、メリットとデメリットに関しては知っておく必要がある。
シートリフォームのメリット
メリット①:簡単で安価にリフォームが可能
シートでリフォームする場合は現存で残っている床や壁を壊さずに施工することが可能となる。一昔前の浴室であれば、タイル仕上げが主だが、そのタイルの上に直接施工することが可能となる。その為施工日数も少なく、解体費用が発生しない分費用も圧倒的に安くなる。
メリット②:DIYで施工が可能
シートを張るだけとなる為、個人でもDIYが可能となる、
可能だからということで簡単にできるということではなく、注意事項をよく検討し丁寧に施工しなければ、大きなデメリットにつながることにもなる。
メリット③:短工期で施工が可能
解体工事が発生すると工期は長期化する。解体工事が発生しない分、工期は圧倒的に短くなる。
シートリフォームであればシートの下地硬化を考慮する場合、季節により異なるが1日~2日で施工が可能となる。
メリット④:種類が豊富の為、イメージした空間が作りやすい
デザインや色彩が多種多様になっている為、浴室の空間イメージを再現しやすい。
現代の浴室はユニットバスが主流である。ユニットバスの内装デザインには制限がある為、ユニットバスよりも空間演出はしやすい。また、ユニットバスで空間演出をする場合は特注デザインとなる為、余計な予算が発生することもある。
メリット⑤:汚れを掃除しやすい
タイル仕上げの場合、溝部分に汚れやカビが溜まりやすく、細かいブラシをしようしなければ掃除も用意ではない。
壁シートであればフラットであるため拭くだけで清掃が可能である。
床の場合、滑り止めの凹凸が多少あるが、素材の観点から、ブラシで簡単に清掃が可能となる。
シートリフォームのデメリット
デメリット①:見た目だけキレイになり、中身は変わらない
シート改修はあくまで「化粧をする」ということである。
設備配管や、機器が劣化している場合でもその補修にはならない。
浴槽や設備機器をリフォームし、シート改修するダブル改修も候補ではある。
しかし、その場合はユニットバス入れ替え改修の方が長い目でみると有効である。
デメリット②:DIYで失敗すると内部がカビだらけに
床シートを施工した外回りはコーキングによる防水処理を施工しなければならない。
防水処理を不十分な状態で完了させてしまうことによって、水がシートと既存の床の間に水分が侵入するとことにより、カビ内部にカビを発生させ、非常に不衛生な状態になってしまう為、十分に留意が必要となる。
DIYと業者依頼の差とは
業者に依頼したほうが、綺麗に早く仕上げることができる。また、シートの選択肢も専門業者ならではの方法で、業者しか仕入れられない材料もある為、最安値ではないにしろ、格安で量産品ではない材料が手に入る可能性もある。
浴室のリフォームを検討されている多くの方は、どのようなリフォーム方法が適しているか不明ということがほとんどだろう。総取り替えの段階なのか、塗装か、パネル貼りか、シート貼りか…
優良な業者であれば、現在の状況とリフォームしたい理由から、適した方法を提案してくれる。
DIYでの修理方法
DIYでも浴室のシート改修は可能だが、慎重に作業を進める必要がある。
失敗し、その失敗による影響が出る期間が長ければ長いほど、補修作業が大変になりより出費がかかることもある。
浴室でのシート改修を行う場合は手順をしっかりと守って取り組んでもらいたい。
DIYをする前の心得と下準備
まず心得ておきたいことは、「水は建物の天敵である」ということである。
建築において室内に水を侵入させないことはかなり重要になっており、大手建設会社や住宅メーカーでは水を侵入させない為の研究部署があるほどである。
例えば、主要構造部に木が使用されていた場合、木が濡れれば腐食し、強度が落ちる。構造物としての機能は低下し大きい地震の際に本来の機能を発揮せず倒壊の危険性が増す。鉄骨造でも同様で、鉄骨が濡れることにより錆が発生し、腐食の原因となり強度が低下する。
浴室のシート改修では大掛かりな作業はないため、このような構造部に直接影響を及ぼすことは無いが、シートの内側に水が侵入すると、内部にカビが発生する場合や、腐食を起こす。
このような物は清掃では落とすことはできない為、大掛かりな改修工事が必要となる。
また、その汚れから悪臭が発生することもある。
■当日・翌日浴室を使用できない場合がある
作業前には必ず清掃を行い、完全に乾かす必要がある。
気温の低い季節等で渇きにくいタイミングでの作業は完全に乾くまで時間がかかる為、結果入浴できないタイミングが生まれる可能性もある。
また、作業後も接着剤を完全に乾かさなければならない為、季節や作業するタイミングによっては入浴できない場合がある為注意が必要である。
■シートを張る作業以外にもやることが多くある
作業前の清掃ももちろんだが、床シートを張った後は、周りをコーキング処理しなければならない。
床のコーキングは壁と床の取り合い部分でコーキングする為、「三角シール」を施す必要があるが、三角シールが難しい。
さらに、このシールが水を内部に侵入させない為に非常に重要となる。
用意する材料 ・道具
・シート
・へら(2個以上)
・ローラー
・接着剤
・コーキング(シリコン系が良い)
・コーキングガン
(セットもある)
参考
その他
はさみ
カッター
(シートをカットするもの)
養生テープ(マスキングテープ)
軍手
DIYでかかる費用
シート本体は、約2m×2m程度の物が一般的であり、¥8,000~¥10,000程度
その他の副資材(紹介した資材)で¥3,000~¥5,000程度
セットであれば¥7,000+α
となり、おおよそ¥20,000程度の材料費でDIYが可能となる。
シートは、細かい寸法での販売はされていない。一般的な浴室である大きさであれば2回分のサイズとなる。
失敗を想定して大き目の寸法の購入しておくのも良い。
もしくはフリマアプリやネットオークション等で他の方が使用し余った材料を使用すれば節約も可能となる為、一度覗いてみても良いだろう。
ただし、気に入ったデザインが出品されているとは限らない。
シートの張り方・手順(床)
実際に床シートの改修方法を紹介する。
どのような作業も手を抜くと必ず失敗する。アマチュアでもプロでも後から必ず欠陥が表れる為、手を抜くことはしてはならない。
少しでも「めんどくさい」といった気持ちがあるのであれば、DIYは避けたほうが良い。
- 床の施工手順①:キレイに清掃し乾燥させる
シートを張る床は、十分にキレイにし乾燥させなければシートがきれいに貼ることができない。キレイに張れなければ、床に“浮き”が発生してしまう場合や、不良の原因のひとつとなる。乾燥が不十分な状態でシートを張ると、張れないだけでなくシート下にカビが発生してしまう為、はじめはかなり重要である。
- 床の施工手順②:シートのカット・段取りをする。
シートを床の大きさにカットしておく。さらに、排水溝の部分についてもあらかじめカットし接着剤貼付後すぐに張れるようにしておく。
シートを床のサイズにカット後に床に合わせ、排水溝部に目印を付け、排水溝部分をカットしておくと後の施工がやりやすくなる。
- 床の施工手順③:排水溝部等に養生テープ等をはる
排水溝部に接着剤が付着すると取れなくなる。さらに接着剤が排水されてしまう危険性もある。また風呂釜との取り合い部分で、接着剤を付着しないようにする為風呂釜にもテープを張ると良いだろう。
- 床の施工手順④:床に接着剤塗る
接着剤を床全体にまんべんなく塗る。この際、均一に塗る為にへらを使用する。
塗る手順は、入口から遠いところから塗り、入り口に背を向けて下がりながら塗り進めると良い。
接着剤を自ら踏むことの無い様な塗り手順を決めたから進める。闇雲に進めると2度手間になることもあるので十分に注意する。
- 床の施工手順⑤:床を張る
実際に床を貼るが、排水溝の位置やその他の向き等に注意を払いながら貼る。
床を張る際にはローラーを用いて全体的にしっかりと押さえる。
さら角部分は、接着剤で使用していないへらを用いて、十分に押さえる。
これらの作業によりシートが床からはがれにくくなる。
- 床の施工手順⑥:4隅と排水溝廻りにコーキングする
床と壁の取り合い部の4方向と、排水溝部にコーキングをすることにより、床の内部に水を侵入させない様にする。
コーキングは床とシートの間に水の侵入を防ぐという目的な為、侵入するところはコーキングにて全て対処しておく必要がある。
- 床の施工手順⑦:完全に硬化させて終了
コーキングは完全効果までおよそ24時間かかる。
しかし、8時間程度で入浴は可能となる。
逆を言えば、8時間以上時間をとれない場合には、入浴は不可となるので注意する。
張
シートの張り方・手順(壁)
壁シートの場合はコーキング処理用の材料、工具は必要ではない。
その他の手順は床と同様の施工方法にてリフォームが可能となる。
ただし、床と壁をシート改修し、下部の壁シートと床シートの取り合い部分をコーキングした場合は、壁のシート改修後もコーキング処理を施すことを推奨する。
下部にコーキング処理をしている状態で、内部に水が侵入した場合、下部から水が抜けることがなくなり、永遠と水は壁内部から抜けない状態となってしまう。
また、浴槽の壁は四角ではなく、浴槽との取り合い部分や、扉部分、鏡等により他の部分との取り合いが必ず発生する。
その際、シートのカットがキレイにできない場合があり、それらをキレイに見せる為にコーキング処理という手段もある。
この場合には4方向全てのコーキング処理が必要である。
- 壁の施工手順①:清掃と乾燥を十分に行う
床のシート改修と同様に、清掃と乾燥を十分に行う。
接着を完全に行うことが施工不良を防ぐ最善の方法の一つとなる為、決して手を抜いてはならない。水垢やカビはできるだけ除去する。
こびりついたカビに関しては取り切れないこともある為、無理に取り切る必要はない。
- 壁の施工手順②: 壁のサイズにシートをカットする
浴室の壁は浴槽や入口扉等の影響により四角ではなく各面でサイズや形が異なる。
寸法を確実に測り、切りすぎることの無いように慎重にカットする必要がある。
4面全てリフォームするのであれば短時間で作業を完了しようとせず、数時間、数日かけてカットや採寸作業をしても良いだろう。
- 壁の施工手順③接着剤を全体にまんべんなく塗る
ヘラを用いて、壁全体に接着剤を塗る。全体的に均一にかつ、平坦に塗る。
壁の仕上げによって使用する接着剤がある為、注意が必要となる。自宅の浴室の壁の仕上げを良く確認し、接着剤の購入が必要である。
- 壁の施工手順④:シートを張る
接着剤を塗り終わった後、シートを張る。
シートはコーナー部分から張り、ゆっくりシワが入らないように張っていく。
垂直・水平が傾かないよう、注意を払いながら張る。2人以上で張る担当、支える担当といった様に担当を分けて張るとキレイに張りやすい。
一通り張り終えた後、ローラーで細かく押し込みシワもなくす。さらに、端部はへらで押す付けることによりきっちり張ることが可能である。
2面以上張る場合は、1面ずつ張り進めることを推奨する。
- 壁の施工手順⑤:乾燥させて完了(コーキング処理は最後へ)
乾燥の処理はシート張り後も重要となる
コーキング処理を施す場合にはシートの接着剤が硬化した後施工する。
コーキングは施工終了時から8時間経過後に入浴が可能となる為、入浴や生活スケジュールを十分たてて作業することを推奨する。
業者修理を依頼する場合とは
業者に依頼すると、早くてきれいに施工してもらうことができる。
業者に依頼した場合にはどのような施工となるか、予算を含め紹介する。
依頼する業者とは
浴室シート張りは水廻りを専門とする内装業者に依頼すると良い。
浴室にシートを張るということから給排水設備業者に依頼すると考える方も多いが、内装業者が適している。
内装業者の中でも浴室の施工実績が豊富な業者が良いだろう。当サイトではシートやパネル貼り、塗装による浴室リフォームを専門としているので、お気軽にご相談いただきたい。
業者は何をしてくれるの?
業者は、上記で紹介したこと全てを1日~2日程度で施工する。
カットやシートを絶妙に合わせること等、一般人には難しいこともプロであれ早く美しく施工する。ご参考として当サイトの「ふろリノベ」の場合の施工期間は、浴槽だけの場合は1日、浴室全体だと2日で、工事完了当日からお風呂に入って頂ける。
よって、使用できないのは最大1日(一晩)である。
業者依頼の場合の予算
業者に依頼する場合は床のみの施工で5万円~8万円程度、壁も一緒に施工する場合は10万円~15万円程度で施工が可能となる。業者や使用する材料によって予算は大幅に変化する。
数社に見積もりを取って価格比較する方法があるが、気をつけていただきたいのは価格の安さを売りにしている業者である。
技術があり価格が安すぎるという事はまず無いと思っていただき、技術を売りにしており、適正価格である業者に依頼することを推奨する。
プロの仕事は、DIYよりもかなり金額は変わるが、仕上がりは大きく異なる。
まとめ
浴室のシート改修は、浴室内をキレイにする一番安価であり、簡単な方法である。
浴室を解体等の大きな工事をせずとも、気分がリフレッシュできることが大きな利点となる。
また、工程をしっかり守り、丁寧に行えばDIYでも可能となるので手作り感のある空間演出が可能となり愛着もわきやすい。
ただし、プロが施工するように簡単にいくことはなく、難しい方のDIYである為、事前の準備は必ず必要である。
注意事項をよく理解してから施工して頂きたい。